鍼灸治療ってどんな感じ?
松浦知史 監修
ー PROLOGUE ー
鍼灸治療って・・・
受けてみたいんだけど、
どんな感じなんだろう?
はじめて鍼灸治療を受けようと考えている人にとっては「鍼灸ってどんなことするんだろう?」と考えるはずです。鍼灸治療は施術者によっていろんな考え方や流派がありますので、あくまでも当院が行っている不妊症に対する鍼灸治療の流れをご紹介していきます。
鍼灸治療の流れ
まずは大まかな流れを見てみましょう。
初診の際には問診票を記載していただき、その内容をもとにこれまでの経緯などについてお伺いします。次にお身体を診察させていただき、問題を引き起こしている原因を探索し、鍼灸治療を行っていきます。治療ではまず仰向けの施術(10~15分)から行い、次にうつ伏せの施術(8~10分)を行います。治療時間はお着替えなどの準備も合わせて1時間程度です。
鍼灸治療で期待される効果
なんで鍼灸治療を併用すると成績があがるんだろう?と考えるはずです。ここでは鍼灸治療によって期待される効果について見てみましょう。
鍼灸の研究が進み、科学的にも鍼灸治療が有効であることが分かってきました。ただし、これは標準的な鍼灸治療での治療実績のため、鍼灸治療を希望する場合には、一定水準に達した鍼灸師を探すことが重要なポイントとなります。
鍼灸治療について
当院では①共通治療と②個別治療、③特異的な治療を行っています。個別治療とは原因が同定できた場合に、その人の病状や病態にあわせてツボを選んで治療することを言います。特異的な治療とは、その症状や疾患に有効性の高いツボを選ぶことを言います。
治療風景
それでは次に当院における不妊症に対する治療の概要について見てましょう。
第1選択 共通治療+個別治療
第2選択 背部兪穴
第3選択 中髎穴刺鍼または陰部神経刺鍼
第4選択 陰部神経鍼通電療法
第1選択の共通治療では以下から選んでいきますが、すべてのツボを選ぶわけではありません。ツボとツボとの関係性や相性、効果を高め合うような配穴にし、患者さんに合わせて選んでいきます。
共通治療穴
第1・第2選択は不妊症に限らず基本に徹して選穴していますが、不妊症の場合には第3の選択肢から論文上でも、その効果やメカニズムが明らかとなっている治療法を採択し、実践していきます。前述した特異的な治療がこれに当たります。中髎穴刺鍼と陰部神経刺鍼では、それぞれ目的が異なりますので、使い分けについて見てみましょう。
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採卵に向けた治療 ⇒ 陰部神経刺鍼
※反応が悪い場合には鍼通電療法の適応
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胚移植に向けた治療 ⇒ 中髎穴刺鍼
※着床に問題がある場合には回旋も追加
※実際には中髎穴刺鍼と陰部神経刺鍼を併用する場合もあります
なお、胚移植当日には、ご希望があれば胚移植前後の2回鍼灸治療を行っています。胚移植前後の鍼灸治療は臨床妊娠率の向上にも寄与するので、ぜひ受けてほしいです。