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Network

病鍼連携

鍼灸院…どこに紹介すればいいんだろう?

「患者さんが鍼灸治療を受けたいと希望しているのだけれども、どこに紹介すればいいのでしょうか?」

鍼灸治療を依頼するにしても連携システムが未確立であるため、個々人で各々のネットワークが構築され、その中で行われているのが現状です。ここでは当院が行っている『医療連携』と鍼灸院へ紹介する際の注意点についてご紹介させていただきます。

鍼灸院 医療連携

より良い医療を提供できるように

当院では、より良い医療を患者さんへ提供できる仕組みづくりを進めております。そのひとつとして『診鍼連携(※)』を推進しています。具体的には、患者さんが鍼灸を希望された場合に当院への紹介がスムーズ行えるように『患者さん用資料』を作成しております。下記よりダウンロードできます。

なお、診療情報提供書に関しては、指定の書式はございませんので、可能であれば、受診日にご持参いただくか下記までFAXしていただけますと幸いです。ご紹介いただいた患者さんが来院された場合には『施術報告書』を作成させていただきます。

大慈松浦鍼灸院

FAX 027-364-1200

​神保町十河医院附属鍼灸院

FAX 03-5283-8803

※診鍼連携…「かかりつけ医」と「鍼灸院」の連携システムのことであり、具体的には「かかりつけ医」から「鍼灸院」へ鍼灸治療の依頼もしくは紹介を行います。一方、「鍼灸院」からは「かかりつけ医」の先生へ施術報告書の作成を行います。また、鍼灸を受療する患者さんの一部にも重大な健康問題を抱えているケースや鍼灸の不適応となる疾患も一定数存在しうるため、その場合に適切な医療を受けてもらうための紹介を行うことができるシステムのこと

どんなときに鍼灸院へ紹介すればよいのか?

鍼灸の適応や導入に関する具体的な基準はいまのところありませんが、患者さんが鍼灸を希望された場合に以下のものが鍼灸の適応になると考えています。

1.臨床試験で効果が立証された疾患

コクラン・レビュー、UpToDate®、および国内の診療ガイドラインを参照すると良いです。2021年のコクラン・レビュー、UpToDate®、および国内の診療ガイドラインで、鍼灸に肯定的または一部肯定的な結論、推奨、あるいは記述がなされている症状・疾患は以下の表のとおりです。

鍼灸の臨床試験で効果が立証された疾患

※表に示した症状・疾患以外についても、現代医学では積極的な治療法が少ない症状にも効果が期待されます。

2.Medically Unexplained Symptoms(機能性心身症、身体症状症など)

線維筋痛症、過敏性腸症候群、機能性ディスペプシア、筋・筋膜性疼痛(特に精神・神経・筋肉の過緊張が関与する病態)なども鍼灸の適応と考えています。

 

3.漢方薬が使用不可、効果が不十分

鍼灸は手技や流派によっては漢方薬に近い効果を得られることが可能であるため、漢方薬が使用不可、あるいは効果が不十分な場合でも対応することができます。また、漢方薬と鍼灸の併用は各々の効果を高め合う相乗効果が期待できるため併用療法を行うこともできます。

 

4.内服困難、腎機能障害、既存の治療でコントロール不良な症状あるいは疾患

上記はさまざまなケースが想定されますので、実際に治療を導入するかは個々の症例をよく吟味し決定する必要があります。

鍼灸院へ紹介するときの注意点

  • 1回あたりの治療費は把握していますか?

鍼灸の多くは自由診療のため治療費は必然的に高くなりますが、鍼灸治療を受療する患者さんにとって高価格は受療を抑制的に働かせる要因となりえます。近年、東京都内の鍼灸院を中心に治療費が高騰しています。感覚として業団が提示している標準的な価格よりも1.5~3倍の価格で施術が行われているように感じます(業団では標準的治療費を3,001円~5,000円の範囲内としている)。これは医療という側面からみると「継続可能な医療」とは言えません。急性期よりも慢性期の疾患や症状を取り扱うケースが多い鍼灸治療にとって、高価格な治療費は患者さんだけでなく、結果として鍼灸師の首を絞めてしまうように思います。当院では、こうしたことから患者さんを優先するために治療費を5,000円と設定しております

  • 紹介先はきちんと鍼灸治療を実施している鍼灸院ですか?

「1回500~1,000円」などと低額な施術料金が提示されている治療施設は基本的に柔道整復免許を所持するはり・きゅう業者です。この業者にみられる低額な施術料金は、療養費の支給が影響していると推測されます。本来は療養費の支給対象外である内科的原因による疾患ならびに単なる肩こり及び筋肉疲労に対する施術に対して十分な点検及び審査が行われないまま療養費が支給されている事態が指摘されています。この業者の多くの実態として使用される鍼の本数は数本で、後は手技療法によるものが多いです。不当な療養費の支給は業者にとっては経営面を安定させ、患者さんは安い施術料金で受けられるので一見よいように感じますが、本来であれば鍼灸を専門とする施術所の受療者となる患者さんも含まれている可能性もあり、このような業者が多く存在してしまっているのが鍼灸業界の衰退にも関与している要因と考えています。

  • 紹介先の鍼灸師は一定水準に達していますか?

医師は卒前6年間、初期臨床研修2年間を含む5年間で基礎領域の専門医となり、その後もサブスペシャリルティを目指して研修する制度となります。一方、現在の鍼灸師資格は、高校卒業後3年間の卒前教育で取得可能で、卒後研修の規定がありません。つまり、鍼灸師の質の担保が難しいのが現状です。この記事を担当している私は、福島県立医科大学会津医療センターでの初期研修を修了し、その後は埼玉医科大学東洋医学科に所属して臨床の研鑽を積んできました。会津医療センターでの研修時には鍼灸師も研修医と同様に研修指導医による指導を受けながら、各診療部門を4週間を基本に、1年間かけてローテーションしたため病院診療業務への理解や対象疾患に対する知識なども一定以上は有しています。

 

  • 紹介先の鍼灸師は賠償責任保険に加入していますか?

当院に所属する鍼灸師は賠償責任保険に加入しており、業務に基づく事故であれば最大3億円が支払われます。鍼灸による副作用や安全性に関するデータでは重篤な有害事象は起こることは稀でありますが「万が一に備える」ことこそが治療者としての責任だと考えています。

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